歯科麻酔について

歯科医院に行って、歯の治療を受けることが楽しくて楽しくて仕方がないという人はいるでしょうか?

院内の独特な雰囲気やにおい、歯を削る器具の音などを感じると、どうして緊張をして二の足を踏んでしまう方が大半ではないでしょうか?

私は歯科医師になることを決めて目指し始めてから、患者様にとって楽な治療、歯科医院に行くことがストレスでなくなる方法を探して大学の歯科麻酔科の門をたたきました。

そこでは、通常の歯科治療に対して大変な恐怖心があり、歯を削るどころかお掃除の器具を使うこともできない方がいたり、えずき(嘔吐反射)が強く、歯を診るためのミラーを入れるだけでもえずいてしまい歯科治療ができない方、なんらかの障がい(精神遅滞や自閉症スペクトラム、脳性麻痺など)があり、治療に対して十分な協力が得られない方がいたりと、様々な理由で各地の歯科医院の先生たちから送られてきた患者さまが毎日たくさん来院されていました。

私は衝撃を受けると同時に、そのような方々を点滴でリラックスしてもらったり、全身麻酔で完全に眠ってもらい治療をしている先生方を見て、こんな素晴らしい可能性を持った診療方法があるのか!と、とても大きな感銘を覚えました。

そこから先は、毎日試行錯誤しながら研鑽の日々を過ごして臨床を重ね、4年後に歯科麻酔認定医試験に合格して念願の歯科麻酔認定医になることができました。

その後は素晴らしい先生との出会いがあり、主に歯科麻酔学会理事の先生に師事しながら全国有数の障がい者センターや大都市の市立病院歯科口腔外科で10年ほど臨床経験を積み、ここ岩国市の実家である安東第二歯科医院に戻って参りました。

これまで私に関わってくださった歯科界の皆様とのかけがえのない貴重で希有な経験を、ここ岩国の地でひとりひとりの患者さまに活かせるように、誠心誠意努力していく所存です。

安東第二歯科医院の麻酔方法

1. 静脈内鎮静法

静脈内鎮静法は、静脈に点滴をとって睡眠導入薬や鎮静薬などを投与して歯科治療に対する不安や恐怖を軽減させ、処置が終わるまで終始リラックスまたは眠った状態を維持することができます。

以下のような場合におすすめです!

  • インプラント埋入手術・上顎洞底挙上術(サイナスリフト)・親知らずの抜歯などの比較的侵襲が大きい処置
  • 歯科治療に対する強い不安感や恐怖心がある
  • 心血管疾患、糖尿病、高血圧症などの既往がある
  • えずき(嘔吐反射)が強い

2.日帰り全身麻酔下歯科治療

安東第二歯科医院では、大学病院、障がい者センター、市立病院歯科口腔外科などで長期にわたり5,000症例以上の鎮静・全身麻酔管理をしてきた歯科麻酔認定医の院長が行う日帰り全身麻酔下歯科治療を受けていただくことが可能です。

初めて聞くと「歯科治療をするために全身麻酔?」と思われるかもしれませんが、通常の歯科診療を行うことが困難な多くの患者さんが日帰り全身麻酔下歯科治療を受けられています。

日帰り全身麻酔下歯科治療では、点滴をとって(様々な理由で点滴をとるのが困難な場合は、最初にマスクでガス麻酔薬を吸って寝ていただきます。)全身麻酔用のお薬を静脈から投与し、意識のない完全に眠った状態を確保して一気に治療を行います。完全に眠っているので、起きている場合なら通常感じる治療の際のイヤな音、独特なにおいや味、突然来る鋭い痛みなどを一切感じること無く治療を進めることが可能です。

長時間の治療でも、患者さまは眠ってからあっという間に治療が終わったと感じることでしょう。日帰り全身麻酔下歯科治療を行う基準としては、静脈内鎮静法では治療が困難、または不安がある患者さまに適しています。麻酔中は、当院院長が責任を持ってモニタリング(血圧・脈拍・心電図・血中酸素飽和度・呼気二酸化炭素分圧・呼吸状態などの管理)しております。日帰り全身麻酔下歯科治療を行う前に、麻酔を安全に行えるか確認するためのいくつかの検査や守っていただく注意事項の説明、医師への対診などがございます。

日帰り全身麻酔下歯科治療の適応例

  • えずき(異常絞扼反射)が非常に強く、静脈内鎮静法でも抑えられない場合
  • 親知らずの抜歯、複数の部位へのインプラント埋入手術・上顎洞底挙上術(サイナスリフト)などの侵襲の大きな手術を行う必要がある場合
  • 多数の歯が虫歯で、通常の診療だと通院回数が多くなり、治療が長期間にわたる場合
  • 低年齢のお子様で通常の治療が難しい場合
  • 何らかの障がいをお持ちの方で通常の診療を受けることが難しい場合